火災からも住み人を守る家づくり

伝統構法の土壁の家

木造家屋というと、火に弱いというイメージがありますが、実際は鉄骨住宅も鉄筋コンクリート住宅も火に弱いのです。鉄骨は木材のように一定の温度で燃え、曲がるそうです。鉄筋コンクリート自体は強い家ですが、内装などには新建材、無垢材など燃えやすいものが数多く使われます。家造りは火事との戦い。建築基準法は如何に住まいを火事から守るかという事を考えて立法されています。

幅広い軒
隣の家からの類焼から住む人を守る厚板の幅広い軒。
雨からも家を守り、多少の雨なら洗濯物も守ります。
干したまま出かけても、助かったぁ!という事も…

例えば上の写真のように隣の家と接する場合は敷地境界から一定距離空けなければならないという決まりがあります。それは隣家からの延焼を防ぐためです。その炎は軒先から家の屋根に入り込むことが実験結果から分かっています。無垢材で家を造るとき、その部分の板の厚さは30分間は内部に延焼しない厚さと決められています。そういった事をきちんと検証して現代の伝統構法の家造りは進められています。また、土壁はその耐火性を認められた素材でもあります。準防火地域ですと、基準に適合した壁として認められています。こちらの建物も充分に火災に対応した設計で建てられました。

無垢材だからこそ火災に強い

シックハウスの時にも書きましたが、新建材と言われる新しい部材の多くは石油化学物質を多く含んでいます。確かに火災に強いのですが、ひとたび燃焼が始まると、石油成分から猛毒なガスが吹き出てきます。最近の火災で多くの被災者が逃げ後れているのは、このガスのためで、煙に巻かれている間に気を失っていることが大きな原因です。

無垢材や自然素材を多く使っている“伝統構法の土壁の家”は家自体はガスを発生しづらい構造です。もし火災が起こったとしても、少しでも長く住人の非難時間を確保できると言われています※1

※1 家の中には家電製品など、工業製品も多いので、一概に必ず大丈夫とは言えません。火災対策は十分にお願いします。